こんにちは。とりりんです。
今回は移動性高気圧を相関係数を使って解析的に調査してみたいと思います。
こんなことが知りたい方向けです。
- 移動性高気圧を知りたい方
- 天気とデータ分析に興味がある方
- プログラミング初心者の方
- この話題を面白そうと思った方
是非最後までご覧ください。
移動性高気圧とは
移動性高気圧とは、文字どおり移動する高気圧のことで、春(4, 5月)と秋(10, 11月)に顕著に現れる現象のことです。
日本上空は偏西風が卓越しており、西から東に天気が変わっていきます。
移動性高気圧が発生する時期は高気圧と低気圧が交互にやってくることで、天気が数日単位で変わっていくことが知られています。
そのため、2地点間の相関係数を調べるとき、同じ日で相関係数を調べたら高くなるでしょうが、数日ずらしても移動性高気圧の周期と一致する場合でも相関係数が高くなるのでは?と考えました。
そこで、今回はラグ相関係数を調べることでこの疑問を調べていきます。
使用データ
今回は気象庁から福岡と秋田における1日ごとの現地気圧と海面気圧データを使用しました。
期間は2010年から2021年まで使用しましたが、結果が良かった年のみ出します。
スクレイピングをしたことで、データ取得がすごく楽になりました。
福岡と秋田の気圧データの相関係数を計算します。
その時、1日の福岡のデータと2日の秋田のデータを比較するといったようにラグを作成します。
今回はラグを0〜14日で試してみました。
また、期間を季節ごとに分けて計算しています。
移動性高気圧は冒頭でお話した通り4, 5月と10, 11月に顕著なのですが、今回は下記で季節を分類しています。
- オールシーズン:1〜12月
- 春:3〜5月
- 夏:6〜8月
- 秋:9〜11月
- 冬:12〜2月
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結果・考察
量が多いので詳しくはお見せしませんが、年によってすごく違いがありました。
うまくいった年やそうでもない年など様々ありますが、結果が1番よかった2017年を紹介します。
この図は2017年の季節(色)ごとにラグ(横軸)ごとの相関係数(縦軸)を示しています。
相関係数の範囲は本来-1〜1ですが、今回は見やすさ重視で負の値は描画から除外しました。
季節はそれぞれ全季節、春、夏、秋、冬を示しています。
なお、太い線が現地気圧、細い線が海面気圧の相関係数を示していますが、そんなに変わらないので気にしなくて結構です。
全期間で共通して言えることは、ラグが少ない方が高い相関関係を示していることです。
1日目でピークをつけており、福岡を覆っていた気圧帯が1日後に秋田に到達していると捉えるべきなのかと思います。
そのため、これは移動性高気圧の周期を示しているというよりも、気圧帯が偏西風に流されている様子を表していると言えます。
では、次に季節で分けた場合はどうでしょうか。
まず春について、ラグが0〜1日と少ない間は高い相関関係を示していましたが、ラグ3日目くらいから全く相関がなくなりました。
しかし、ラグ7日目から11日目にかけて、0.3以上と高めの相関関係が再び現れる結果となりました。
また、秋についてはそこまで明瞭ではないものの、ラグ6〜7日目と11日目に極大の値を示しています。
一方で、夏と冬はなんとも言えない結果となりました。
春と秋のこのラグ相関係数の2回目のピークが移動性高気圧の周期を表していると考えられます。
どうしてそう言えるかというと、夏と冬のように何もない場合はピークをつけずに何の関連も見えないはずだからです。
ただ、自然現象ゆえそんなに明瞭には周期が卓越していないため、ラグが1日以下よりもラグ相関係数が低いのではないかと思います。
また、春と秋でピーク値が違う(年ごとでも違いました)のは、季節や時期によって偏西風の強さや周期自体が変わってくるためではないかと勝手に推測しています。
まとめ
今回は気圧データを使って移動性高気圧の存在を確かめてみました。
今回の話をまとめると下記のようになります。
- 福岡と秋田のラグ相関を計算
- 最も高いラグ相関係数は1日で、天気が西から東に変わっていく様を表している
- 春と秋にはラグ6〜8日あたりにラグ相関係数極大値が現れ、これが移動性高気圧の周期?
- 年や季節ごとに極大値が変わり、時期によって周期が少し変わるためだと考えられる
- 移動性高気圧は天気の移り変わりほどは明瞭に見えない(当然だけど)
今回の結果から移動性高気圧は3〜4日くらいだと思っていたので、春よりも秋の結果の方がなんだか自然に感じますね(春はなんなんだろう?)。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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