はじめに
DyDoは主にコーヒーを自動販売機で販売している飲料メーカーです。
子会社では、医薬品事業も展開しています。
- 暑ければ飲み物を飲むよね?
- 寒ければ飲み物を飲まないよね?
株価はそんな単純なものではないので、少し関連しているという結果が出たら嬉しいなぁといった軽い気持ちでやっています。
コーヒーが主力のDyDoの株価は、気温とどのように関連があるのでしょうか?
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データ・手法
使用データ
比較対象として使用するDyDoの株価データは、Stooqから取得した1日ごとの終値を使用しました。
また、気温のデータは気象庁から取得した東京の日平均気温、日最高気温、日最低気温を使いました。
期間はいずれも2013年1月4日から2020年12月31日の約8年間です。
データの種類 | 取得元 | 内容 |
株価 | Stooq | 終値 |
---|---|---|
気温 | 気象庁 | 日最高気温 日平均気温 日最低気温 |
手法
以下の手順で相関係数を計算します。
- 気温のデータを該当日数分ずらして、株価データと対応させる。
- 株価データに線形トレンドの除去をする。
- 相関係数を計算する。
まず、相関係数とは-1から1までの値を取り、1に近づくほど正の相関があり(気温が上がるほど株価が上がる)、-1に近づくほど負の相関がある(気温が上がるほど株価が下がる)ということを示す係数です。
相関係数が0は、2つの要素には何の関係もありません。
相関係数の値 | 意味 |
正 | 気温が上がるほど株価が上がる |
---|---|
負 | 気温が上がるほど株価が下がる |
0 | 気温と株価に関係がない |
1.の処理をした理由は、ラグ相関を計算するためです。
ラグ相関とは、一方をずらして計算した相関係数のことです。
今回のパターンに当てはめて説明すると、その日の株価と何日か後の気温の相関係数を計算するということです。
そのため、データ数が一致しないので、データがずらした日数分少なくなっています。
また、2.で線形トレンドの除去をしており、これは長期的な傾向を加味したくなかったためです。
線形トレンドの除去とは、長期的な上昇or下降の傾向を最適な線形の関数(最小二乗法)で取り除くことです。
簡単に言うと、この処理をすることで、株価が上昇or下降し続けているわりに、現在の株価が上昇or下降しているかが分かります。
1や2で処理したデータのラグ相関係数を計算しています。
ラグ相関を、30日から180日まで30日ずつずらした6パターンで計算しています。
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結果
ラグを作った株価と気温の経年変化
まず図を載せます。。
左上:30日、右上:60日、左:90日、右:120日、左下:150日、右下:180日ずらしたグラフです。
線はそれぞれ、トレンド除去した株価、該当日数ずらした最高気温、該当日数ずらした平均気温、該当日数ずらした最低気温です。
少しわかりにくい図ですが、30日ずらした図の場合、1月31日の気温をグラフ上の1月1日に描画しています。
図を眺めてみると、以前よりも関係ありそうな感じがしてきませんか?
それでは、実際にラグ相関係数を見ていきましょう!
以下は、便宜上
- トレンド除去をした株価:株価
- ずらした気温:気温
対象期間全体での相関係数
まずは、全期間での相関係数を計算しました。
今回の計算でわかることは、少し難しいですが、株価が長期的なトレンドに比べて、どれだけ○日後の気温と関係があるのかです。
正の相関がある場合は、長期的な傾向よりも株価が上がった場合に、○日後の気温も上がっているということです。
例えば、30日ラグ相関が正に強い場合、30日後の気温が高い予測がされていれば、これから株価が上昇するんじゃない?と過去の経験則から予測できます!
なんだか夢がありませんか?
結果を下の表にまとめます。
小数第4位を四捨五入した値を示しています。
ずらした日数 | 最高気温 | 平均気温 | 最低気温 |
30日 | -0.059 | -0.069 | -0.075 |
---|---|---|---|
60日 | 0.004 | -0.009 | -0.021 |
90日 | 0.038 | 0.027 | 0.018 |
120日 | 0.054 | 0.043 | 0.032 |
150日 | 0.045 | 0.037 | 0.029 |
180日 | 0.017 | 0.011 | 0.002 |
数字が出まくってる割に大した結果は出ず。
期間全体ではなかなか難しいですね。
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季節ごとで分けた場合
今度は、季節ごとに分けて、ラグ相関係数を計算します。
季節の定義は以下の通りです。
- 春:3月〜5月
- 夏:6月〜8月
- 秋:9月〜11月
- 冬:12月〜2月
量が多いですが、頑張ってついてきてください。
今回欲しい値は、相関係数が0から離れた値だけなので、0に近い値は無視することで理解しやすくなるはずです。
それでは結果に移ります。
春(3月〜5月)
ずらした日数 | 最高気温の相関係数 | 平均気温の相関係数 | 最低気温の相関係数 |
30日 | 0.133 | 0.155 | 0.160 |
---|---|---|---|
60日 | 0.117 | 0.091 | 0.039 |
90日 | 0.086 | 0.080 | 0.066 |
120日 | -0.011 | -0.021 | -0.031 |
150日 | -0.118 | -0.118 | -0.116 |
180日 | -0.109 | -0.095 | -0.095 |
高い箇所でさえ、30日ラグで0.15の相関係数です。
ラグ日数が伸びると負の相関・・・よくわかりませんね。
あまり顕著な結果は出ませんでした。
夏(6月〜8月)
ずらした日数 | 最高気温の相関係数 | 平均気温の相関係数 | 最低気温の相関係数 |
30日 | 0.054 | 0.043 | 0.033 |
---|---|---|---|
60日 | 0.020 | 0.020 | 0.020 |
90日 | 0.055 | 0.083 | 0.097 |
120日 | 0.121 | 0.112 | 0.091 |
150日 | 0.050 | 0.050 | 0.037 |
180日 | -0.002 | -0.045 | -0.100 |
夏は伊藤園で想像に近い結果が出て、夏以降の気温と関係がありそうだったのですが、DyDoはそうはいかないみたい。
小さな正の相関が出てるとはいえ、結果なしと言わざるを得ない数字です。
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秋(9月〜11月)
ずらした日数 | 最高気温の相関係数 | 平均気温の相関係数 | 最低気温の相関係数 |
30日 | -0.258 | -0.294 | -0.313 |
---|---|---|---|
60日 | -0.100 | -0.133 | -0.152 |
90日 | -0.004 | -0.086 | -0.165 |
120日 | 0.019 | -0.022 | -0.068 |
150日 | 0.133 | 0.121 | 0.116 |
180日 | 0.177 | 0.139 | 0.106 |
これはまた新たな発見が出来たのではないでしょうか?
30日ラグでの約-0.3とそれなりの負の相関が出ました!
最高気温よりも平均気温や最低気温でやはり1に近い値が出やすい・・・。
150, 180日の正の相関はよくわかりませんが。
冬(12月〜2月)
ずらした日数 | 最高気温の相関係数 | 平均気温の相関係数 | 最低気温の相関係数 |
30日 | -0.110 | -0.176 | -0.249 |
---|---|---|---|
60日 | 0.003 | -0.023 | -0.037 |
90日 | -0.016 | -0.052 | -0.063 |
120日 | -0.005 | -0.044 | -0.059 |
150日 | 0.103 | 0.033 | -0.030 |
180日 | -0.086 | -0.113 | -0.132 |
秋が来たから冬も!と思ったら来た!
秋ほどではないですが、30日で約-0.2の負の相関!
最低気温が強いですね。。。
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考察
今回得られた明確な結果として、秋と冬の30日ラグで負の相関があることがわかりました。
この点について、私なりの解釈を説明します。
秋と冬で負の相関がある理由
今回の肝は、コーヒーを主力とするメーカーであるという点が挙げられると思います。
コーヒーにも種類がありますが、秋から冬にかけて飲みたくなるのはきっとホットコーヒーです。
そのため、寒くなると予想されると、株価が上がるのは想像できる範囲だと思います。
同様の理由で、最高気温ではなく最低気温で出やすいのも納得で、1日ずっと寒いよりも、物凄く寒いタイミングでホットコーヒーを飲みたくなるのだと考えます。
ただ、1つ納得できないのは、この考察だと90日ラグくらいまで同様の傾向が見えても良い気がしますが、何故か30日ラグのみなのかという点です。
気象庁は3ヶ月予報まで出していますが、3ヶ月先の予報はあてにされていないor本当に関係ないのでしょうか・・・。
因みに、2003年からの17年で同様に調べたところ、いずれも結果が出ませんでした。
期間を広げてより結果を出すのが難しくなったと見るのが一般的だと思いますが、近年の地球温暖化の影響で異常気象が増えていることが、もしかすると株価が気温と関係が深まる原因の1つとしてあるのかもしれません。
注意点
今回、上記のような結果が出ましたが、必ずしも株価と気温が関連していることを示すものではありません。
どういうことかというと、例えば、以下のことが挙げられます。
- 株価と経済成長に相関がある
- 経済成長と気温に相関がある
上記のどちらも当てはまっていた場合、株価と気温が関連していなくても、どちらも経済成長に関連した動きとなるので、相関が出てしまいます。
例として経済成長を挙げましたが、株価と気温の間に関連する何かがもしかするとあるかもしれません。
このような見かけの相関のことを疑似相関と言います。
疑似相関の可能性が0ではないため、その点はご承知おきください。
まとめ
今日は、ラグ相関を用いて気温と株価がどのくらい関連しているかを調べました!
過去の結果でも思っていましたが、飲料メーカーでもかなり特色が違いそうですね。
秋・冬のDyDoの株価は、30日先の気温とそれなりに関係があることがわかりました。
今回の結果から、DyDoは秋から冬にかけての寒くなる時期におけるホットコーヒーの売り上げが結構重要視できるのではないかと思います。
ただ、これは考察で述べた見かけの可能性もあるので、その点はご注意ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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